ランサー(原田左之助)

 概ね原作通り。ただしマスターのバフを受けまくった関係で生前よりもよりしぶとくなったスーパー原田くん。魔術ももちろんつかえないが、マスターが自由に使っていいよと放り込まれた余剰魔力があるので、ちょっとだけズルをして水上を走ったり大ジャンプしたりする。
「便利っすね、魔術って。え、水の上を走ったり、ちょっと高く飛んだりって、普通はできないんすか?」

 最初に召喚されたサーヴァント。目の前に立っていたのは何かを落っことしてきたかのような、あるいは何かもを諦めながらも終われなかったかのような、そういう酷い顔をした男だった。聖杯にかける願いと言っても、死ぬ間際には何も思わなかった。未練など自分だって分からない。だから、正直そこまで本気で聖杯戦争に参加するつもりは無かったのだが、それはどうやらマスターも同じだったらしい。
 また、FGO時空の彼よりも淡泊。流れに流され、生きるがままに生き、死に損ねて、死に損ねて、そして大陸の空を仰ぎながら穏やかに目を閉じた。涙の一つも出ないまま。その最期と地続きで召喚されたためか、あるいは過去の未練の一つを消化するようなあの戦いに参加しなかったが故か、カルデアに招かれた彼よりも消極的で受動的。
 そういうことで最初は険悪では無いが相性がいいかと言われると首をかしげるような、まあ比較的マシな部類の主従だった。相性召喚のため、主従の仲は悪くない。幾度か会話をする内に、おそらくは似たもの同士だと勘づいていったのは必然だろう。それでも互いにそのことについて触れることは退去の寸前までは無かった。
「死に損ねて、死に損ねて、死に損ねて……大将は、最期に涙の一つくらいは流せりゃいいですね」
「嫌味か?」

 浅葱の羽織は着ていない。アレ着てたら真名もろばれじゃないっすか。そういうわけで普段はマスターに仕舞ってもらってます。とは本人の談。一応召喚されたときには着ていたらしい。
 服はいつかどこかで召喚された際に調達してきたもの。どっからこさえたんだその派手な……と言われたが正直ランサーもよく分かっていない。なんですかねこれ。まあ動きやすいんでいいですけど。

「楽しかったですよ、それなりに。でも俺はここまでみたいなんで、お先に失礼します」
「……令さん。どうぞお達者で」
 本当に悪くは無かった。死に損ね同士、聖杯戦争においても最後まで死に損ねて、ついぞ最後の主従となった。何を得るわけでm無く、何を取り戻すわけでも無く、後に残るは疲労と戦跡だけ。聖杯の魔力供給も途絶え、もう消えると言ったときに、涙は出なかったが笑みが出た。
 楽しかったのだ。そしてそのまま、消えるべき時に消える。倒れながら微妙な笑みを浮かべているマスターを見下ろしながら、退去の間際にそんな言葉を残した。
 ――死ぬべき時に死に損ねた。死に損ねて、死に損ねて、そして時間切れだと言われるように穏やかな最期を通り過ぎた。今度こそ、死ぬべき時に死んだのだ。鮮やかな記憶の真ん中で、確かに。願いそのものでは無いのかもしれなかったが、満足だった。それだけで、呼ばれるに足る理由であったのだと思えるほどには。
 ……ああ、貴方が死ぬときも、笑えるといいですね。

 イフ時空では単発のバイトをしながらマスターの仕事を手伝っている。現代をそれなりに(結構)楽しんでいる模様。バイトをしている理由については「いや、まあ、なんていうか、この状況って俺はどう見てもヒモじゃないっすか。流石にそれはちょっと嫌なんで」とのこと。あと普通に娯楽用の金が欲しいので働いてます、らしい。
「いっすね現代。美味いもんは沢山ありますし、平和ですし。バイトもやってみると意外と楽しいんで、まあお気遣い無く」
「そのバイトをするための工面は俺がやってんだけどな」
「うす。あざす」
「……いいんだけどさぁ」

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